日本救急医学会雑誌
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臓器障害を伴った重症感染例におけるT細胞のtype 1/type 2分化の評価
flow cytometric cytokine detectionの臨床応用
今村 祐司小倉 良夫村上 義昭竹末 芳生末田 泰二郎檜山 英三横山 隆
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2002 年 13 巻 8 号 p. 422-428

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抄録

目的:critical careを必要とする重症例ではT細胞系の機能異常を背景とした免疫抑制状態にあると考えられており,様々な病態でこれらを把握するための免疫モニタリングが考案されてきた。本研究はT細胞系モニタリングを目的にflow cytometryによるsingle cell analysis法を用いてTリンパ球のtype 1/type 2分化を解析し,重症感染時におけるTリンパ球の機能異常を示唆する変化を明らかにする。対象と方法:対象は平成11年4月から平成12年7月までに当科で加療した臓器障害を伴った重症細菌感染症(以下SI群)7例で,対照は健常成人(以下HC群)9名とした。静脈血を採取して全血培養を行い,PMA+Ionomycinの刺激で細胞内に合成されたサイトカイン(IFN-γ, IL-4)を単クローン抗体で蛍光標識し,flow cytometryを用いて単一細胞レベルで解析した。結果はhelper T(以下hT),cytotoxic T(以下cT)のサブセット別にIFN-γおよびIL-4産生細胞の百分率(%)を算出し,同時に測定した単球HLA-DR抗原の発現率と併せてHC群とSI群間で比較検討した。結果:type 2分化を示すIL-4産生細胞はSI群のhTでは7.5±1.2%に認め,HC群の3.7±1.1%に比べ有意に増加しており,またcTでもIL-4産生細胞の有意な増加(6.3±1.4%)を認めた。一方,type 1分化のIFN-γ産生細胞はSI群のhT, cT各サブセットで11.6±1.5%, 34.4±9.8%に認め,HC群(10.2±1.6%および27.0±4.8%)と比べ,有意な変化を認めなかった。こうしたSI群では,単球機能の指標となるHLA-DR陽性率は45.9±11.0%と著しい低下を示していた。まとめ:重症感染時のTリンパ球のtype 1/type 2分化はtype 2単極化(主にIL-4産生細胞の増加)を示すことがsingle cell analysysによって明らかにされ,この変化はT細胞系モニタリングの有用な指標となる。

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