1996年1月から2000年12月までの5年間に当院救急部を救急車で受診した発症24時間以内の急性心筋梗塞(AMI)患者の背景と治療成績を検討した。全患者数15,896人中AMIは107人(0.67%)であり,東京地区での推定発症頻度とほぼ同程度であった。これは当救急部が循環器疾患や重症傷病に特化せず,あらゆる傷病を重症度を問わず診療するという「北米型のER」の形態をとっていることを反映していると考えられた。発症から来院までの時間は平均209±245分,中央値123分であり,94%は12時間以内の到着であった。他院への転送例4人,外来死亡2人を除く101人が入院し,うち86人(85%)に緊急心臓カテーテル検査が施行され,81人に緊急冠動脈形成術が施行された。病変成功(TIMI2以上)は76人(94%)で得られた。経静脈的血栓溶解療法は1人のみに施行された。院内死亡は11人(10.7%)で,再灌流療法施行例では4.9%であり,内外の報告と比較し遜色のない治療水準を維持していた。また救急部門と循環器医との効率的な連携のために導入したクリティカルパスが有効に活用されていることも確認された。