日本救急医学会雑誌
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Severe sepsisにおいて持続的血液濾過透析(CHDF)が補体系に及ぼす影響
池田 一美池田 寿昭名倉 正利谷内 仁大島 一太黒木 雄一松野 直徒
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2004 年 15 巻 3 号 p. 89-97

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抄録

Sepsisのなかで臓器障害または重要臓器の灌流障害を伴うsevere sepsisの患者に対し持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration: CHDF)を行い,補体系に及ぼす影響からその有効性について検討した。対象は当センターICUにおいて3日以上CHDFを施行したsevere sepsisの患者9例で,hemofilterはpolymethyl methacrylate (PMMA)膜を用い,抗凝固剤はメシル酸ナファモスタットを投与した。測定項目は,CH50, C1q, C3プロアクチベーター,C3, C4, C3a, CRP,アルブミンおよびcolloid osmotic pressure (COP)であり,測定はCHDF開始前,開始2, 6, 12時間後と3日後に行った。CHDF開始2週間後の転帰で生存群と死亡群に分け,群内,群間とhemofilterへの脱血側と送血側での変化について各々有意差検定を行った。転帰は生存5例,死亡4例であり,CHDF施行時間は134±36時間(mean±SD)であった。両群ともCHDF開始前C3aは高値を示し,CH50, C3は低値を示した。C3aはCHDF施行中に生存群では有意に低下し死亡群では増加傾向にはあったが,CH50, C3に有意の変化はなかった。CHDFの濾液中にCH50, C3aが検出され,C3aは脱血側に比し送血側では2および6時間後には増加したが12時間後には低下した。CH50には有意の変化はなかった。severe sepsisの患者では補体系のalternative pathwayが活性化されC3aが高値を示した。生存群ではCHDF施行によるC3aの除去が転帰の改善に寄与したと思われ,CHDFは敗血症の治療に有利に作用すると思われた。しかしhemofilter自体が補体を活性化する可能性も示唆された。

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