日本救急医学会雑誌
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日本外傷データバンク(JTDB)参加に関連する要因の検討
市川 政雄中原 慎二若井 晋
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2005 年 16 巻 9 号 p. 552-556

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抄録

日本外傷データバンク(JTDB)が2004年に開始されたが,その対象施設がJTDBに参加できるか否かは各施設の診療記録の管理体制に左右されると考えられる。そこで,具体的にどのような要因がJTDBへの参加あるいは不参加に関係しているか検討した。まずJTDB開始前に,救命救急センターと大学病院救急部における外傷登録の現状(登録内容,登録患者数,データベース化の有無,入力用コンピュータの有無,入力スタッフの有無など)を把握するため,自記式調査票を用いたベースライン調査を実施した。そしてJTDB開始3か月後に,ベースライン調査に応じた施設がJTDBに参加しているかどうか確認するため,フォローアップ調査を実施した。ベースライン調査とフォローアップ調査の両方に応じた施設は,救命救急センター165施設のうち39施設,大学病院救急部59施設のうち19施設であった。外傷登録の現状を分類してJTDBへの参加施設の割合を比較した結果,診療記録をデータベース化している施設ならびに救命救急センターにおいて参加施設の割合が高かった。医師一人あたりの登録患者数が多くても少なくても,参加施設の割合に大きな違いは見られなかった。医師数が多い施設,データ入力用のコンピュータや入力スタッフを有する施設,JTDBの入力項目が既存の診療記録に多く含まれている施設においては,参加施設の割合が高い傾向にあった。以上のことから,JTDBへの参加の可否は既存の診療記録の管理体制に依存しているといえる。

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