日本救急医学会雑誌
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ハチ刺症における症状と治療
32症例の治療経験より
太田 孝一岩崎 寛並木 昭義
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1993 年 4 巻 1 号 p. 33-37

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抄録

ハチ刺症にて入院加療した32症例を対象として,ハチ刺症の症状,治療法について検討した。ハチ刺症には,局所反応型,アナフィラキシー型,アルサス型の3つのタイプがある。今回検討した症例を,上記の3群すなわち,局所反応群(8例),アナフィラキシー群(18例),アルサス群(6例)に分けた。局所反応群は,ハチ刺部の腫脹と疼痛を特徴とし,局所冷却とステロイド塗布を行った。アナフィラキシー群は,ハチ刺部以外の部位に発赤や皮疹が出現した症例で,点滴とステロイド投与が有効であった。局所反応群,アナフィラキシー群は上記の治療により,24時間以内に完治した。一方アルサス群は,ハチ刺後6時間以上経過しても,ハチ刺部周囲の腫脹が強度のものでも,点滴およびステロイド投与に反応したが,完治には48時間以上必要とした。アルサス型のハチ刺症は,アナフィラキシー型のハチ刺症発症頻度の約1/3と低いものの注意が必要である。ハチ刺症では,アナフィラキシー型のみならずアルサス型も念頭に入れて,12~24時間の経過観察と早期より適切な治療を行うことが重要である。

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