日本救急医学会雑誌
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成人内因性搬入時心肺停止症例における急性心筋梗塞の頻度とその超急性期突然死例の病態
剖検時冠状動脈造影と病理組織学的検討
東海林 哲郎金子 正光伊藤 靖坂野 晶司今泉 均小林 謙二浅井 康文
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1998 年 9 巻 4 号 p. 143-157

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抄録

救急医療体制の確立とともに突然心停止し,心肺停止状態で救急医療施設に搬入されるCPAOA例が増加している。急性心筋梗塞発症早期に突然死が多いとされるが,入院前心停止例では正確な臨床診断は難しく,病理解剖でも発症6時間以内では特徴ある所見に乏しい。目的:成人内因性突然死における急性心筋梗塞の頻度と発症直後に突然心停止した心筋梗塞超急性期の病態を明らかにする。症例・方法:最近7年間に当部へ搬入された30~80歳の内因性CPAOA384例のうち臨床診断で「急性心不全」が212例(55.2%)を占めた。このうちの64例に剖検を行い,剖検時冠状動脈造影を含め冠状動脈ならびに心筋病変を検討した。急性心筋梗塞の診断は冠状動脈の血栓性閉塞・狭窄所見を重視し,病変灌流域心筋組織のhematoxylin-basic-fuchsin-picric acid染色陽性所見を参考とした。結果:64例中急性心筋梗塞は36例(56.3%)で,27例に内膜破綻と新鮮血栓,6例に内膜破綻がみられた。初発心筋梗塞19例,陳旧性梗塞再発例17例で,前者の6例,後者の12例が重症多枝病変例であった。冠状動脈閉塞・狭窄病変は主要冠状動脈中枢側に多かったが,とくに一枝病変例18例では各枝いずれも中枢側に責任病変があった。他は不整脈死6,大動脈瘤破裂6,心筋症4,肺塞栓症2,その他7,不明3例であった。考案・結語:「急性心不全」とされた成人内因性CPAOA64例の剖検で急性心筋梗塞が36例,56.3%を占めた。これを「急性心不全」212例にあてはめて推定した例に臨床診断で急性心筋梗塞と診断し得た20例を加えると成人内因性CPA症例384例中で急性心筋梗塞の頻度は36.2%と推定された。心筋梗塞超急性期突然死例のうち初回発症例では一枝病変例が,再発例では重症多枝病変例が多く,また一枝病変突然死例では各枝中枢側に病変を有することが示された。

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