日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
Print ISSN : 0918-0729
ISSN-L : 0918-0729
超音波による乳癌検診は死亡率を減少させるか
シミュレーション分析による40歳代超音波乳がん検診の救命効果および効率の検討
栗山 進一大貫 幸二鈴木 昭彦市村 みゆき森久保 寛東野 英利子辻 一郎大内 憲明
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 16 巻 1 号 p. 93-98

詳細
抄録

本研究の目的は, 40歳代女性に対する超音波・マンモグラフィ併用 (US & MMG), 超音波単独 (US単独), マンモグラフィ単独 (MMG単独) の3種類の逐年検診方法を, シミュレーション分析により救命効果, 効率の点から比較検討することである。各検診方法に対して10万人ずつの仮想コホートを設定し, 検診とその効果をシミュレーションにより追跡した。それぞれの検診を行うコホートで, 要精検者数, 乳がん患者数を, 検診の感度・特異度, 乳がん罹患数より計算し, 期待生存年数を早期乳がん比率, 病期別の5年生存率, 平均余命より算出した。費用効果比は検診により生存年1年延長に要する費用である。検診方法別の感度・特異度, 早期乳がん比率は, 平成12年度~16年度に栃木県保健衛生事業団が行った地域住民出張検診データから算出した。救命数の差をみると, 検診方法別ではUS & MMGが最も大きく, US単独, MMG単独の順に低下した。費用効果比をみると, US単独が他の2つの検診方法より良好であり, MMG単独, US & MMG単独の順で費用効果比が低下した。最も効果の高いのはUS & MMG検診であり, 最も費用効果比が良かったのはUS単独検診であった。

著者関連情報
© 2007 日本乳癌検診学会
前の記事 次の記事
feedback
Top