日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
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原著
マンモグラフィ検診における視触診併用の意義に関する検討
櫻井 照久尾浦 正二澤田 将利清井 めぐみ梅村 定司清水 幸生下野 千草佐々木 恵里栗本 博史
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2014 年 23 巻 3 号 p. 347-352

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抄録

和歌山県の当総合健診センターでは,厚生労働省の指針に基づき,分離方式の視触診併用マンモグラフィ検診を行っている。今回,視触診併用マンモグラフィ検診における視触診の意義につき検討した。対象は,2004年から2009年に当センターで触診とマンモグラフィ読影を分離方式で実施した視触診併用マンモグラフィ検診受診者55,533名である。結果は,要精密検査率は9.6%,発見癌率は0.23%,陽性反応適中率は2.4%であった。発見癌は病期0が14%,病期Iが59%と早期癌が多くを占めたが,視触診で指摘できたのは,病期0で11%,病期Iで25%に過ぎず,発見癌での視触診の感度は低かった。視触診併用マンモグラフィ検診において,視触診で乳癌を指摘できる頻度は低く,視触診のみで発見された乳癌は1名のみであった(1/55,533)。また,費用面から検討すると,視触診を省略し,MMG単独の検診にすることで1名の癌発見の費用を55万円抑制できると試算された。視触診併用により不要な要精密検査が増えている可能性があり,視触診併用の意義は低いと考えられた。

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© 2014 日本乳癌検診学会
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