日本乳癌検診学会誌
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症例報告
マンモグラフィにて特異な石灰化を認めた若年者の乳管内乳頭腫の1例
岡本 喜一郎松尾 康治森田 孝子森谷 鈴子
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2014 年 23 巻 3 号 p. 371-375

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抄録

症例は26歳,女性。1年前から右乳腺CDエリアに腫瘤を自覚していた。右乳頭から白色調の分泌液を自覚したため当院来院。乳頭分泌液細胞診は陰性であった。マンモグラフィでは,右CDの拡張した乳管内に集簇性の淡く不明瞭な石灰化を認め,分枝状の形を呈した。乳腺エコーで,右CDに拡張した乳管とその内部に乳頭状に増殖した腫瘤を認めた。乳腺造影MRIでは,腫瘤は早期より造影され,次第に漸増するパターンを示した。以上より,乳管内乳頭腫(intraductal papilloma, IP)と診断し,乳管腺葉区域切除術を行った。切除標本では,IPの一部に腺の増殖と間質の硬化,多数の微小石灰化を認めた。石灰化は,増殖した腺腔内の分泌物に由来するものと考えられた。本症例では,マンモグラフィの特異な石灰化の原因は,硬化性乳頭腫の一部で上皮が脱落・消失した結果,乳管小葉構造を反映する分枝状の石灰化のみが間質に残り,石灰化が互いに癒合したことと考えられた。IPでは,稀に血行障害による梗塞などの原因で今回のような上皮脱落を伴う間質の硬化を来し,特異な石灰化を呈することも念頭に入れる必要があると考えられた。

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© 2014 日本乳癌検診学会
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