日本乳癌検診学会誌
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症例報告
検診マンモグラフィにて発見された乳腺Pure Tubular Carcinomaの1例
大塚 博紀大野 香荒川 奈緒美原田 亜里沙菅野 荘太郎杉山 迪子児玉 ひとみ
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2014 年 23 巻 3 号 p. 376-381

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抄録

乳腺管状癌(tubular carcinoma: TC)は全乳癌の1%程度までとされ,稀である。WHOのClassification of Tumours of the Breast (2012)では腫瘤のほとんどが管腔構造である“Pure Tubular Carcinoma"(PT)と他の構造が混在する“Mixed Type of Tubular Carcinoma”に分類される。検診マンモグラフィ(MMG)で発見されたPTの1例を経験した。70歳代前半,女性。視触診とMMGの検診にて,視触診で右C領域に不整形で弾性硬な2 cm程の腫瘤を触知し,MMGで右C領域に構築の乱れの疑い(カテゴリー3)とされた。乳房超音波(US)にて右10時方向に8 mm程の後方エコーの減弱を伴う不整形の低エコー腫瘤像を認め,周囲に血流表示も認めた。MRIやCTでは遠隔転移認めず。乳房内にもその他の病変を認めなかった。吸引細胞診は陰性であったが,針生検にて硬癌またはTCと診断された。乳房切除術およびセンチネルリンパ節(SN)生検(Bt+SLNB)を施行し,SN陰性であった。最終病理診断はPT (T1N1M0,Stage IIA)であった。術後,アロマターゼ阻害薬内服後2年を経過するが再発の兆候は認めない。本症例は,過去の報告と比較するとやや高齢(70歳代前半)で,TCのMMG所見としてよく報告されたスピキュラは判然としなかったが,PTの特徴として報告されているMMG上の腫瘤非形成や石灰化を伴わない点には合致していた。US所見はTCに特異的な所見ではなかったが,悪性を強く疑わせる所見であった。

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© 2014 日本乳癌検診学会
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