2015 年 24 巻 1 号 p. 50-53
わが国で乳がん検診にマンモグラフィが導入された2000年当時はスクリーン/フィルムによる 撮影が主流であり,検診システムそのものもフィルムを読影することを前提として構築された。その後のデジタル技術の発達に伴い,マンモグラフィの分野でもおよそ9割がデジタル撮影される時代になっている。画像をデジタル化する恩恵は数多いが,中でもソフトコピー診断によるウィンドウ調整や拡大率の可変性は大きな利点である。デジタル撮影の初期にはハードコピーしたフィルムを読影することも多かったが,最近ではソフトコピー診断が急速に普及している。一方でフィルム読影を前提 に構築された検診システムをソフトコピー診断に移行する際には,一次検診としての視触診とマンモグラフィ読影の位置づけや,ダブルチェックの方法,データのトランスファー,医療機関毎に異なる デジタル機器から提供される画像データとビューワの互換性の問題など,全国の個々の医療機関で進むソフトコピー診断の普及とは違った課題も検診現場では現れている。技術の進歩に伴う変化に備えて幅広い観点から準備を進めることが重要である。