日本乳癌検診学会誌
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検診発見乳癌の生物学的特性
福井県対策型MMG 併用乳癌検診発見癌の年齢階層別にみた病理組織学的特徴
田中 文恵 大田 浩司田中 正樹前田 浩幸岡田 香織笠原 善郎
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2015 年 24 巻 2 号 p. 166-170

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抄録

福井県対策型MMG 併用乳癌検診発見癌を,検診歴や年齢階層別で病理組織学的特徴を検討した。対象は2004~2012年度の発見癌564例中,病理結果のわかる549例。同期間の総受診者数は延べ133,864名で,がん発見率は0.42%,2年度以内の繰返し受診率は38.1%だった。年齢階層別では,40代から70代の繰返し受診率は27.9%,37.8%,44.0%,46.3%と増加するが,発見率は0.41%,0.34%,0.43%,0.55%と50代が低かった。DCIS 率も50代が低く27.5%,21.6%,27.1%,14.8%,浸潤癌のER 陽性率も同様で87.1%,75.3%,86.7%,90.6%だった。病期分類での検討では,病期0―1期割合は40代が低く63.3%,77.9%,68.8%,74.7%と続き,50代は高かった。浸潤癌ER 陰性率は13%だが,1期の50代では24.6%と高かった。日本乳癌学会2008年度統計と比較すると40~50代のER 陽性率は著変ないが,60~70代は検診発見癌が高かった。また初回受診でのDCIS 率は40代から26.1%,21.5%,19.3%,14.5%と低下し,初回浸潤癌ER 陽性率は84.9%で,全体と同様50代が75.3%と低かった。それに対し,繰返し受診ではDCIS 率は26.7%,浸潤癌ER 陽性率は88.5%と,より早期でER 陽性の高いものが占めていた。

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