2015 年 24 巻 2 号 p. 187-190
検診発見と自己発見で乳癌の生物学的特性に違いがあるか,那覇西クリニックで治療を行った432人を対象に検討を行った。その結果,検診発見群では非浸潤癌やStage I の乳癌の割合が有意に高く,また生物学的特性ではLuminal A や低Ki67が統計学的有意差をもって多く認められた。一方,自己発見群では高ステージで,かつLuminal B,高Ki67の乳癌が多く認められた。腫瘍増殖のスピードに伴う腫瘍構造の特性,腫瘍中心部の低酸素状況などによりマンモグラフィで所見としてとらえられにくい腫瘍があることや,また高悪性度腫瘍のdoubling time の問題で急速増殖を来すことなどで,2年に1度の検診でとらえることができない腫瘍があることが示唆された。この結果を踏まえて,2年に1度の検診を基本とし,加えて定期的な自己触診の推奨と,異常所見を自覚した際にはできるだけ早い段階での乳腺専門施設の受診勧奨を行うことが重要であると考えられた。