日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
Print ISSN : 0918-0729
ISSN-L : 0918-0729
検診発見乳癌の生物学的特性
検診発見トリプルネガティブ乳癌の特徴についての検討
堀米 香世子 磯谷 正敏原田 徹金岡 祐次亀井 桂太郎前田 敦行高山 祐一深見 保之尾上 俊介川勝 章司大塚 新平須磨 崎真森 治樹米川 佳彦千馬 耕亮渡邉 夕樹吉川 晃士朗寺崎 史浩
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 24 巻 2 号 p. 191-195

詳細
抄録

2010年1月~2014年4月に当院で施行した乳癌手術症例のうち,トリプルネガティブ乳癌(TN乳癌)の占める割合は検診で5.7%,非検診で15.2%と検診群で有意に少なく(p=0.0004),TN 乳癌は検診で発見しづらいと考えられる。そこで,検診発見TN 乳癌の特徴を明らかにし,TN 乳癌の検診発見率向上に努めることを目的に,2010年1月~2014年4月に当院で施行した乳癌手術症例のうち,検診発見TN 乳癌(検診群)12例と非検診発見TN 乳癌(非検診群)57例を比較検討した。自覚症状は検診群の8.3%のみで認めた。病理学的浸潤径10mm 以下の割合は検診群(66.7%)で,非検診群(21.1%)より有意に高かった。過去2年以内に検診受診歴がある症例が検診群では75%であったのに対し,非検診群では8.8%のみであった。検診内容は67%で視触診,MMG の他にUS が併用されていた。 TN 乳癌は増殖スピードが速いため通常の検診間隔では指摘が困難であるかもしれないが,2年以内の繰返し検診により発見率を向上させることが期待できる。検診で発見されたTN 乳癌はTN 乳癌の中でも予後の良いタイプである可能性があり,今後は繰返し検診をしていたにも関わらず検診で指摘できなかったTN 乳癌の特徴をさらに追求していく必要がある。

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top