日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
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検診発見乳癌の生物学的特性
発見状況の違いによる再発乳癌の検討
萩尾 加奈子 五十嵐 麻由子馬場 基佐藤 雅子富岡 伸元渡邊 健一高橋 將人
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キーワード: 再発, 検診, 浸潤性小葉癌
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2015 年 24 巻 2 号 p. 203-206

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抄録

【目的】当院における乳癌再発症例について,発見状況を含め臨床的特徴などについて検討した。【方法】2002年から2011年までに当院で手術を行った2,196例(stage0~IIIC)中,進行乳癌を除いた2,023例(stage0~IIB)から再発した症例156例について検討した。【結果】再発と無再発で発見状況を比較したところ,再発症例では検診17例(10.8%),自己発見130例(83.3%),その他8例(5.1%),不明1例(0.6%)であり,無再発症例(1867例)では検診560例(29.9%),自己発見1,172例(62.7%),その他127例(6.8%),不明8例(0.4%)となり,無再発症例では検診発見率が高かった(p<0.0001)。再発症例におけるstage 分類,術式,腋窩リンパ節郭清の有無,組織型,ER,HER2,転移部位(リンパ節,骨,肺,温存乳房,局所胸壁,肝臓,脳,その他)について,検診群(17例)と自己発見群(130例)に分けて比較したところ,検診群の再発症例では浸潤性小葉癌の割合が有意に高かった(p=0.006)。それ以外の臨床病理学的因子に差は認められなかった。【結語】検診発見症例は自己発見症例に比較して再発率は低かった。ただし浸潤性小葉癌については,その生物学的特性から検診発見症例でも再発について注意深くフォローアップする必要がある。

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