日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
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ハイリスク女性に対する検診をどうするか
リスクに応じた乳癌検診体制の構築
遺伝性乳癌を念頭に(抄録)
佐藤 馨古田 昭彦安田 友理
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2015 年 24 巻 2 号 p. 223

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抄録

[背景]乳癌の約5~10%は遺伝性と推定される。特に遺伝性乳癌卵巣癌症候群(以下HBOC)が重要であるが,わが国の乳癌検診においてはHBOC という高リスク群を想定した体制はとられていない。 [目的]当施設では,既往歴,家族歴などからHBOC を拾い上げる体制構築を開始した。 [方法](1)外来問診票を用いた既往歴,家族歴の聴取を徹底,(2)NCCN ガイドラインに準拠した拾い上げ,(3)認定遺伝カウンセラーによる詳細な家族歴聴取・リスク評価・遺伝カウンセリング,(4)希望者に対する遺伝子(BRCA1/2)検査,(5)BRCA 遺伝子変異保有者に対する検診プログラムの作成。 [結果]2012年4月から2013年12月の期間で4,320名の外来受診者から問診を施行した。当科での拾い上げ基準該当者は約10%,約2%に対し詳細な家族歴聴取を行い,16例にBRCA 遺伝子検査を実施した。最終的に6名の発端者にBRCA 遺伝子変異を認めた。 [考察]HBOC による乳癌発症は若年者に多く,通常の検診体制での対応は不十分である。漫然とした病歴聴取ではなく,HBOC を念頭に置いた問診・病歴聴取と遺伝カウンセリング体制の整備が必要と考える。 [結語]HBOC を念頭に置いた乳癌検診体制整備が急務である。 (プログラム・予稿集より)

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