日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
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ハイリスク女性に対する検診をどうするか
北海道での若年者検診状況とHBOC(遺伝性乳癌卵巣癌症候群)への対策の現状
高橋 將人 池田 由加利櫻井 晃洋萩尾 加奈子五十嵐 麻由子馬場 基佐藤 雅子富岡 伸元渡邊 健一
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2015 年 24 巻 2 号 p. 224-228

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抄録

2010年の北海道での乳癌検診受診率は28%であった。全国平均を大きく下回っており,北海道の乳癌死亡率減少にはまず対策型検診の充実が重要である。一方,検診発見乳癌の内訳で40歳未満の症例は1.6%であり,その全例が触診にて腫瘤が確認されていた。日本乳癌学会全国患者登録調査報告によると,40歳未満の症例は全体の6.6%を占め,多くの症例は検診で発見されていない。この年代への対策型検診の有効性は確認されず,若年者への対応は別立てで考える必要がある。 遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)は,その浸透率の高さから乳癌罹患ハイリスクとして知られているが,最近本邦でも遺伝カウンセリングおよび遺伝子検査の体制が整ってきた。北海道がんセンターでも2010年11月より遺伝子・先端医療外来を開設し,2014年6月まで31人に遺伝カウンセリングを行い,22人に遺伝子検査を行った。7家系8名にBRCA1 またはBRCA2 の変異を認め,乳癌家族歴のない症例も2例含まれていた。2014年より診療科横断的かつ地域包括的情報共有を目標に,北海道HBOC ネットワークが開設された。 40歳以上には対策型検診を充実させる必要がある。一方,若年発症乳癌死亡率減少には従来の対策型検診ではなく,HBOC およびその家系に対するサーベイランス体制の構築が必須である。

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