日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
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原著
検診検出乳癌のサブタイプ別検討
超音波検診はNon-luminal 乳癌を早期に検出できるか
向井 理枝 塚本 徳子和田 朋子鈴木 咲子秋山 忍大出 幸子森下 恵美子本田 聡鈴木 高祐矢形 寛山内 英子角田 博子
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2015 年 24 巻 2 号 p. 285-292

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抄録

生命予後に大きく関与すると考えられるサブタイプ分類に着目し,超音波(US)検診を行うことで悪性度の高いNon―luminal 乳癌を検出できるかを探る。2009年1月から2011年12月の3年間に当施設の検診延べ受診者はUS:28,691名,マンモグラフィ(MMG):40,282名である。要精査率は各々4.8%と3.0%,検出乳癌は112名(0.39%)124病変と97名(0.24%)101病変である。このうち,US 検出浸潤癌71名74病変(年齢中央値49歳)とMMG 検出浸潤癌59名59病変(年齢中央値58歳)を対象にサブタイプを検討した。その結果,US 群はLuminal A(LA):25病変(33.8%),Luminal B(LB):38病変(51.4%),LA/B:6病変(8.1%),HER2:2病変(2.7%),Triple Negative(TN):3病変(4.1%)。MMG群はLA:13病変(22.0%),LB:32病変(54.2%),LA/B:3病変(5.1%),HER2:6病変(10.2%),TN:4病変(6.8%),HER2/TN:1病変(1.7%)であった。MMG に比較してUS で有意にLuminal 乳癌の割合が多かった(p<0.001)。US とMMG を同時併用した延べ受診者数は11,938名であった。このうち,いずれかで検出した浸潤癌は37病変であり,Non―luminal 乳癌は3病変であった。この3病変は両方のモダリティで検出しており,MMG にUS を加えて検出できる浸潤癌にNon―luminal 乳癌はなかった。US は高濃度乳房から腫瘤を形成する小さい浸潤癌,特にTN 乳癌を効率よく検出できる可能性を考えていたが,実際にはER(+)乳癌が多く,ER(-)乳癌検出は少なかった。単施設の結果ではあるが,Non―luminal 乳癌はUS を加えても検診検出は難しいタイプの乳癌である可能性が示された。

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