日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
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症例報告
乳癌との鑑別に難渋した若年者の乳腺症の1例
小林 哲郎 大西 純子花田 正人
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キーワード: 乳癌, 乳腺症, 若年者
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2015 年 24 巻 3 号 p. 387-390

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抄録

その多彩な乳腺症の組織像のため,診断に難渋した症例を紹介する。26歳女性,未婚。視触診・超音波の乳癌検診で,左乳房外上部に腫瘤の存在を指摘された。超音波では左C 領域に,境界明瞭粗なほぼ円形の腫瘤で,内部に点状高エコーを認めた。マンモグラムは,高濃度不均一の乳腺組織で,該当部に腫瘤影はなく,微小円形の石灰化の散在が見られた。超音波ガイド下に穿刺吸引細胞診を施行。多くの乳管上皮細胞量が採取され悪性疑いと診断され,診断確定のため組織生検を依頼された。針生検(core needle)を施行。しかし,結果はbenign breast tissue の診断であった。上記二者の診断結果に乖離が見られたため,超音波ガイド下にhook wire を挿入して,腫瘤の摘出を行った。病理結果は多彩な乳管上皮の増殖を示す乳腺症であった。

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