日本乳癌検診学会誌
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第28回学術総会/シンポジウム1
乳癌症例におけるマンモグラフィの圧迫乳房厚と予後についての検討
―CBT 別,自覚症状別の10年生存率からみた年代別の適切な啓発について―
浅野 聡子大貫 幸二宇佐美 伸梅邑 明子渡辺 道雄
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2019 年 28 巻 1 号 p. 17-20

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抄録

高濃度乳房に対して超音波検査の上乗せが議論されているが,「見かけ高濃度」の乳房に代表されるように,日本人の高濃度乳房は乳房が小さいため早期にしこりを自覚できる可能性がある。マンモグラフィの圧迫乳房厚(compressed breast thickness : CBT)と予後について検討し,適切な乳癌検診に関する考察を加えた。 2006年~2008年に当施設で診断された初発・片側乳癌症例のうち,マンモグラフィが撮影されており,発見契機が判明している334例を対象とした。しこりの自覚がない116例の早期乳癌比率は76%,乳癌特異的10生率(以下,10生率)は97%だったのに対して,しこりを自覚していた218例の早期乳癌比率は47%,10生率は89%と予後不良であった(p<0.05)。しこりを自覚していた群に限定しCBT 別に早期乳癌比率をみると,CBT 3cm 以上で42%,CBT 3cm 未満で58%と,CBT が大きい乳房の方で早期乳癌比率が低かった(p=0.02)が,10生率はCBT 3cm 以上で89%,CBT 3cm 未満で90%と差がなかった。年代別にみると39歳以下の10生率は65%と予後不良で,70歳以上は他病死が多く10生率は96%であった。検診の主な対象となる40~69歳152例の10生率はCBT 3cm 未満の95%よりもCBT3cm 以上群91%の方で予後が悪かったが有意差は認めなかった(p=0.37)。 CBT が大きい乳房はしこりを自覚した段階では進行乳癌となる可能性が高いと考えられ,対策型検診ではCBT 3cm 以上の高濃度乳房にUS の上乗せを検討することが妥当かもしれない。CBT はMG を撮影すれば得られる値であるため,今後も様々な検討ができる可能性がある。

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