日本乳癌検診学会誌
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原著
ステレオガイド下吸引式針生検症例の検討
鬼頭 礼子石山 暁三浦 沙紀千葉 泰彦小野 響子
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2019 年 28 巻 2 号 p. 109-114

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抄録

ステレオガイド下吸引式組織生検(ST―VAB)で診断する乳癌の多くは,非浸潤性乳管癌(DCIS)である。最近,乳癌診療における過剰診断や過剰治療が問題となっている。ST―VAB の今後の施行方針や診断した早期乳癌の治療方針について検討する目的で,2014年3月から2016年6月までに行った75回のST―VAB 症例についてマンモグラフィ(MMG)所見,病理診断,経過を検証した。 全例石灰化病変で,C―3,C―4,C―5のそれぞれ3例(7.7%),16例(57.1%),8例(100%)が悪性で75例中27例が悪性であった。C―5の1例はST―VAB で診断がつかず切開生検で診断した。C―3が39例で,そのうち23例で経過観察なしにST―VAB が施行されたが,C―3の悪性例は全例DCIS であった。特に核異型が高度でなくcomedo 壊死を含まないものを低悪性度のDCIS として注目すると,ST―VAB も術後病理診断も低悪性度のDCISと診断された症例は2例(7.4%)のみだった。1例はC―3の石灰化をST―VAB で取りきり4年以上手術をせずに経過観察中で,もう1例はC―4の石灰化でDCIS と診断し温存術を行い,術後診断も3mm の低悪性度のDCIS だった。また,壊死性の小さな集簇石灰化をST―VAB で取りきったため経過観察とし,その後石灰化が再現して診断から13か月目に手術した症例があり,この症例の術後診断も5mm の低悪性度のDCIS であった。 ST―VAB で診断した乳癌のうち低悪性度のDCIS は7.4%のみであり,ST―VAB により治療すべき早期乳癌が診断できていると考えられた。ただし,C―3の石灰化は所見の増悪があればST―VAB を施行する,C―4までの石灰化はST―VAB で悪性とまで診断できなければ経過観察する,C―5の石灰化はST―VAB で悪性と診断できなければ切開生検まで施行するなど,過剰な検査や治療を回避するために,MMG カテゴリーに応じた治療方針が必要と考えられた。また,低悪性度のDCIS やST―VAB で石灰化を取りきれた小さなDCIS は,手術せず経過観察可能であると考えられた。

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