日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
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原著
MMG装置を撮り分ける際の指標
――所見の描出能と平均乳腺線量の違いに着目した検討
古川 博子 藤井 直子山西 昌子芝 英一
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2020 年 29 巻 1 号 p. 45-54

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抄録

当院で使用しているMo ターゲット搭載マンモグラフィ(MMG)装置(以下,A)とW ターゲット搭載MMG 装置(以下,B)は画質・線質などの特徴が異なる。経過観察中の患者を撮り分ける際の指標を明確にするために以下の検討を行った。 対象:2018年1月,前回A/今回B で撮影した175名(内術後35名),検討項目:1)所見の描出能,2)AGD。成績:1―1)腫瘤26所見中,A<B:9,A=B:14,A>B:3。1―2)石灰化は52所見存在した。微小円形34所見中,A>B:0,A=B:29,A<B:5,淡く不明瞭18所見中,A>B:7,A=B:11,A<B:0。微小円形はB,淡く不明瞭はA の方が視認性がよかったが,両者は随伴することが多く臨床的な重要性も考慮し,石灰化はAで撮影する方が望ましいと考えられた。1―3)FAD15所見中,A>B:5,A=B:6,A<B:4と差が認められなかった。2)乳房厚50mm 以下ではA>B だが,50mm を超えると差は縮まっていき,55mm で逆転しA<B となった。この傾向は乳房の構成には依存しなかった。 装置選択時には前回所見を考慮し,腫瘤はB,石灰化はA を選択,それ以外は被曝低減を考慮し,乳房厚50mm 以下ではB,55mm 以上ではA を選択することが望ましいと考えられ,撮り分ける際の指標が明確になった。

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