日本乳癌検診学会誌
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第30回学術総会/ シンポジウム1 乳房構成から見た乳癌検診のあり方を考える
乳房構成に関する情報提供のあり方について
笠原 善郎
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2021 年 30 巻 1 号 p. 23-27

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抄録

マンモグラフィ検診では乳房濃度が高いほどがん検出感度が低下し,高濃度乳房問題はマンモグラフィ検診の偽陰性問題としてとらえるべき課題である。乳房構成を通知するか否かは現在市町村の判断に委ねられているが,通知するのであれば「高濃度乳房について」(QA 集)を参考に対策型検診として科学的根拠に基づきその後の指導を行うべきである。通知を行う際は,偽陰性に関する啓発を行い受診者の通知希望の有無を確認した後,高濃度乳房かどうかではなく四区分の乳房構成(脂肪性,乳腺散在,不均一高濃度,極めて高濃度)を示す必要がある。高濃度乳房と記すのみでその後の対処法を示さない通知や,一律に乳房超音波検査推奨する通知は行うべきではない。受診者がいたずらに不安に陥ることなく適切な行動がとれるよう配慮した対応が必要で,そのための体制整備(説明体制,質問窓口,社会資源の整備など)が今後の課題である。

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