2021 年 30 巻 2 号 p. 221-229
目的:全乳房自動超音波検査装置(ABUS)と用手超音波検査装置(HHUS)の乳腺病変に対する診断能を比較する。対象と方法:2018年1月~2019年8月に研究参加6施設で,同一症例に対し ABUS と HHUS を行った496例(悪性235例,良性261例)に対し,各症例3名の読影医による良・悪性の診断能と悪性病変の検出能を比較した。 成績:カテゴリー4以上を悪性,3b 以下を良性と診断したとすると ABUS,HHUS の感度はそれぞれ54.3%,78.5%であり,HHUS は ABUS と比して有意に高く(p<0.001),特異度は ABUS 87.1%,HHUS 81.2%であり,ABUS は HHUS と比して有意に高かった(p=0.002)。ROC 解析では,AUC は ABUS 0.755,HHUS 0.862 で,HHUS が ABUS と比して有意に大きかった(p<0.001)。同一症例に対する3名の読影の最大カテゴリーを用い,カテゴリー2以下を要精検病変なし,3a 以上をありとすると ABUS,HHUS の感度はそれぞれ91.1%,99.1%で HHUS は ABUS と比して有意に高く(p<0.001),特異度はそれぞれ26.4%,23.4%と低かった。 考察:臨床情報に基づいて検査を行い病変部を撮像する HHUS は,全乳房の画像から病変を拾い上げ診断する ABUS に比して悪性病変に対する拾い上げ能力,診断感度が優っていた。