日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
Print ISSN : 0918-0729
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原著
2機種の腹臥位式マンモグラフィガイド下吸引組織診の比較検討とポジショニングの工夫
藤井 直子 中間 友美芝 英一
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ジャーナル 認証あり

2022 年 31 巻 1 号 p. 93-101

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抄録

当院では2005年の開院時より石灰化で発見される非触知病変に対して,腹臥位式マンモグラフィガイド下吸引式組織診(MMG-VAB)を行っている。当初はステレオ撮影にて target 座標を同定する MultiCare platinum(装置 A)を使用していたが,2019年1月にデジタルブレストトモシンセシスを搭載した Affirm Prone Biopsy System(装置 B)を導入した。2種類の MMG-VAB を使用する経験を得た。装置 A・B に対して,EUREF の平均乳腺線量(average glandular dose: AGD)測定法を改変して比較用 AGD を概算した。比較用 AGD から装置 B は低線量での検査施行が可能であった。悪性病変発見率は装置 A・B ともに同等で有意差はなかった。装置 B は位置合わせの選択肢が増えた点やトモシンセシス画像により target の同定が容易になり採取成功率が高かった(p=0.04)。装置 B は止血時間が長くかかった症例があったが(p<0.001),検査時間は装置 A よりも短時間で遂行されていた(p<0.001)。装置 B は止血時間が長くかかった症例があったが(p<0.001),装置 A よりも検査時間は短縮し(p<0.001),比較用 AGD も低く抑えることができたことで患者の負担軽減が可能となった。装置性能が向上しても検査が正確,かつ安全・迅速に遂行できるか否かは,診療放射線技師の位置合わせのよしあしにかかっており,技師の役割は大きいと考えられる。

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