日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
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第31回学術総会/ワークショップ2 次世代の乳がん検診
AIを用いたリングエコー自動診断の検討
―自動化×乳がん検診―
井上 謙一 川崎 あいか有泉 千草海野 敬子北田 翼長島 美貴水野 香世三角 みその佐々木 毅土井 卓子
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2022 年 31 巻 2 号 p. 153-156

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抄録

対策型乳癌検診では現在マンモグラフィ検診を採用している。一方,マンモグラフィに超音波検査を加えると癌検出力が向上することが知られている。しかしハンドヘルドエコーでの検診は人的資源が不足しており現実的ではない。また検診の場においては感染リスクも増加する。そこで全自動超音波検査で検診を行い,さらにそれを人工知能が自動診断することで,検診の場に応用することが現実的であるかを検証した。リングエコーで撮影した72症例を対象に,人工知能で画像診断させることで乳癌の検出精度を検証した。人工知能は畳み込みニューラルネットワークにトランスフォーマーを組み合わせた,リングエコー専用のアルゴリズムを構築した。症例毎の精度は正診率78.6%,感度85.7%,特異度71.4%となり,検診に応用し得る可能性が示唆された。今後は症例数を増やすことで精度を改善させ,新たな検診システムとして全国展開させることができると思われた。また撮影から診断まで自動化された検診システムが構築されることで,感染対策はもとより,へき地や離島といった医療資源に乏しい地域にも利用可能と思われ,地域格差の解消にも繋がると思われた。

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