日本乳癌検診学会誌
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第33回学術総会/シンポジウム2 乳がん検診に視触診は不要である!
乳癌検診における視触診の位置付け
~当院の任意型乳癌検診データから考察する
塚田 弘子 清水 由実野上 真子野口 英一郎青山 圭明石 定子
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キーワード: 視触診, 任意型健診
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2024 年 33 巻 2 号 p. 110-113

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抄録
本邦の対策型検診は1987 年の視触診単独法に始まり,2000 年にマンモグラフィ検診導入後も視触診は併用されてきた。しかし,視触診による死亡率減少効果は不明であること,精度管理が不十分であることから2016 年に視触診は検診項目から削除された。当院では,任意型検診として視触診・マンモグラフィ・乳腺超音波検査を施行している。2021 年1 月~ 2023 年5 月に当院任意型健診を受検した225 例の女性を対象に,検診における視触診の位置付けを検討した。 年齢の中央値は68 歳,全例で視触診・乳腺超音波検査が施行され,188 例にマンモグラフィが施行された。視触診異常は51 例(22.7%),うち34 例(66.7%)が腫瘤触知もしくは腫瘤疑いであり,他検査で同部位に異常がみられた症例は2 例であった。マンモグラフィ異常は9 例(4.8%),うち2例に生検が施行され,1 例が浸潤性小葉癌の診断となった。乳腺超音波検査異常は21 例(9.3%),うち5 例に生検が施行され,1 例が浸潤性乳管癌の診断となった。 2 例の乳癌症例はいずれも視触診で異常がみられなかった。一方で,視触診異常を指摘された34例に乳癌はみられなかった。画像で指摘された腫瘤影の中央値は8mm であり,視触診で適切に病変を指摘することは困難であると考えられた。 近年,本邦でも「ブレスト・アウェアネス」の概念が広まっているが,必ずしも視触診は必須ではなく,「乳房を意識した生活習慣」が正しいがん予防教育において重要であり,広く周知されるべき概念である。
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