2006 年 15 巻 1 号 p. 83-87
わが国では30~40歳代女性の乳癌罹患率が高いにも関わらず, 検診受診率は低く, 乳癌死亡数も増加している。乳癌検診受診率の向上と乳癌死亡率の減少を目的として, われわれが行っている小中学校のPTAの母親を対象にした乳癌啓発活動について報告する。事後のアンケートでは, 乳癌体験者からのメッセージによって母親たちは乳癌をより身近なものとして捉え, 検診の重要性を理解できていた。乳癌に対してまったく無関心かつ無知な女性の検診受診率の向上には医療者からの講演だけでは困難であるが, 体験者との交流は強い動機付けになると考えられた。