現在,人工股関節置換手術に用いられているレディメードの金属製ステムは,個人差を有する生体骨との力学的適合性に問題がある.術後の早期回復と運動機能回復のためには,生体の力学的特性に合わせたステム設計が望まれており,自由度の高い設計システムが必要となる.繊維強化複合材料は材料選択や繊維含有率の調整,繊維の形態,積層構成の変更など自由度の高い材料設計が可能で,目的に応じた力学的特性を得ることが可能となるため,複雑な力学特性を有する人体に適した材料であり,これを用いた高機能・高信頼性のテーラーメード人工股関節の設計が実現できるものと考える.本報文ではこれらの設計手法を述べた.
