日本結晶成長学会誌
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極性構造から見たGaN薄膜成長におけるサファイア基板上低温バッファ層の機能(<小特集>Buffer層を中心としたエピタキシーの新展開)
角谷 正友福家 俊郎
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2005 年 32 巻 2 号 p. 66-73

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抄録

サファイア基板上の低温バッファ層が,基板表面状態,V/III比や膜厚,アニール時のガス雰囲気などの条件に対して,どのように変化するのかを系統的に検討してきた.バッファ層の変化については定性的な議論であるが,極性構造という視点から考えると,低温バッファ層の新しい意義を見出すことができた.それは,GaN薄膜の成長方位(極性)をN面からGa面極性に転換させる機能である.サファイア基板の高温水素処理後に500-600℃まで基板温度を下げるというプロセスが,N面極性となる基板表面での反応を抑制するという低温バッファ層の新しい描像を提案する.GaN低温バッファ層の作製条件依存性に関する我々のデータを紹介しながら,サファイア基板とアニール後のバッファ層表面を2つの重要な界面として,極性構造の点から低温バッファ層とGaN薄膜の成長について解説する.

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© 2005 日本結晶成長学会
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