日本結晶成長学会誌
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III族窒化物室温成長バッファー層の評価(<小特集>Buffer層を中心としたエピタキシーの新展開)
太田 実雄小林 篤尾嶋 正治藤岡 洋
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2005 年 32 巻 2 号 p. 82-88

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抄録

III族窒化物に対して小さい格子不整をあたえるMnZnフェライトやZnOの基板表面を原子レベルで平坦化した後,パルスレーザー堆積法(PLD法)によってGaN薄膜およびAlN薄膜を成長した.PLD法はIII族原料を高いエネルギーで基板に供給するので成長温度の低温化が可能となり,室温においてもエピタキシャル成長が実現した.また,この低温化によって窒化物薄膜と基板間の界面反応が抑制され,結晶の品質やモフォロジーが改善されることがわかった.これらの基板上では室温においてもGaN薄膜がlayer-by-layer成長し,その表面はステップ・テラス構造を有していることが分かった.室温エピタキシャル成長によってIII族窒化物薄膜と基板間の界面急峻性が実現されることから,従来では界面反応の影響で使用することが難しかった格子整合基板が利用可能となり良質なGaN薄膜の成長が実現すると考えられる.

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© 2005 日本結晶成長学会
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