日本結晶成長学会誌
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結晶成長フロントにおける散逸構造としてのキラル対称性の破れ(<特集>期待される結晶成長)
朝倉 浩一
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2007 年 34 巻 2 号 p. 63-68

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抄録

1,1'-ビナフチルは,ラセミ化合物結晶とキラル結晶の融点が,それぞれ145および158℃であるため,145℃以上の過冷却融液から結晶化させると自然分晶する.また,1,1'-ビナフチルはその融液中では迅速にラセミ化するため,確率論に基づいて生じる両異性体結晶生成量の差(ゆらぎ)がもたらす融液中の両異性体量の差は,この迅速なラセミ化により直ちに解消される.その結果,過冷却融液中において145℃以上で1,1'-ビナフチルの結晶相が成長する場合,自発的にホモキラルな状態が出現する場合がある.本総合報告では,この現象を,1977年にノーベル化学賞が授与された「非平衡系の自己組織化:散逸構造」という概念と結び付けて説明する.

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© 2007 日本結晶成長学会
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