日本結晶成長学会誌
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結晶化におけるカイラル対称性の破れ(<特集>結晶成長とキラリティ)
上羽 牧夫
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2008 年 35 巻 1 号 p. 10-16

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抄録

鏡映反転で不変(カイラル対称)な分子が対称性を破った構造の結晶を作ることはよくあることだが,自然に核生成が起きるときには左右の結晶がほぼ同数できる.しかし,いくつかの物質では,溶液中で撹拌しながら核生成を起こすときに対称性の強い破れが実現され,ほとんど一方の型の結晶のみを生成することがある.また,過飽和溶液中で両種鏡像体結晶の粉砕撹拌を長時間続けることによって,カイラリティの転換が促され,対称性が完全に破れた状態が実現することが見つかった.さらに最近,同様な方法で分子自体のカイラリティを転換できることも報告された.これらの実験と,それを説明するために提案されている簡単なモデルをいくつか紹介し,完全な対称性の破れの生じる原因を考える.

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© 2008 日本結晶成長学会
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