2008 年 35 巻 2 号 p. 111-117
画像診断装置であるPET(陽電子放出断層撮像装置)は,癌の早期発見が可能なことから注目され急速に普及している.PETの性能向上にはγ線(511keV)を高感度で検出するための,高性能なシンチレータが要求される.高木,深沢によって見出されたCe添加Gd_2SiO_5単結晶シンチレータは,全ての特性にバランスのとれたシンチレータ材料で,主にPETのγ線検出器として実用されている.本稿では,PETおよびそのγ線検出器の原理,用いられるシンチレータ材料への要求について記述し,GSO単結晶の実用化に際しての課題や大型単結晶の育成などに関して述べる.最後に,次世代PETの動向と,そこに向けて開発中の新たなシンチレータ材料についても言及する.