日本結晶成長学会誌
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臭化タリウム(TlBr)結晶を用いた直接変換型半導体ガンマ線検出器の現状(<特集>酸化物結晶成長とシンチレータへの応用)
人見 啓太朗菊池 洋平庄司 忠良石井 慶造
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2008 年 35 巻 2 号 p. 118-122

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抄録

臭化タリウム(TlBr)は禁止帯幅2,68eVを持つ化合物半導体である.TlBrは原子番号がタリウムで81番,臭素で35番と大変高く,密度もまた7.56g/cm^3と非常に高い.このためTlBr結晶は直接変換型のガンマ線検出器用材料として大変有望である.帯溶融法により育成したTlBr結晶は市販されているCdTeガンマ線検出器用結晶と同程度の電荷輸送特性を示した.ピクセル型TlBr検出器は室温において662keVのガンマ線に対して約1%と高分解能を示した.また,Tl金属を電極とすることでTlBr検出器の動作安定性を飛躍的に改善することに成功した.さらに,検出器に印加するバイアス電圧の極性を定期的に反転させることにより,600時間安定にTlBr検出器を動作させることに成功した.

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© 2008 日本結晶成長学会
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