2009 年 35 巻 4 号 p. 249-254
反射高速電子線回折(RHEED)の強度振動観察は,原子・分子レベルでの急峻なヘテロ界面を創り出す強力な測定手法であり,レーザーなどのヘテロ構造デバイスの作製に欠かせない.GaAsを始めとして金属や酸化物などの幅広い材料で観測されているが,有機系・分子性材料については,これまでRHEED強度振動の報告例は無かった.今回初めて成功したマイカ上のC_<60>薄膜成長中における明瞭なRHEED強度振動について,鍵となった有機レーザーMBE法とLayer-by-layer成長モードの必要条件について考察を交えながら紹介する.