2009 年 36 巻 3 号 p. 222-228
GaN系半導体レーザダイオードの特性や信頼性の向上には,結晶欠陥の低減が必須である.このためには,結晶欠陥を十分理解することが重要である.ウルツ鉱型構造を有するGaN系半導体材料は,GaAs系半導体材料をはじめとする従来の閃亜鉛鉱型構造を有するIII-V族発光デバイス材料と結晶構造が異なる事などにより,従来と異なる様々な結晶欠陥がエピタキシャル層中に発生する.本稿では,エピタキシャル層/基板界面から発生する貫通転位,p型半導体層に発生するMgに関与した結晶欠陥およびGaInN量子井戸層において発生する結晶欠陥について,透過電子顕微鏡法によって解析した事例を紹介する.