2010 年 37 巻 3 号 p. 190-195
SiC(0001)面上のエピタキシャルグラフェン成長を,テラス上のC凝集過程と捉えて,そのエナージェティクスを第一原理計算によって追跡した.吸着C原子はsp^2結合を作りやすく,表面Siの未結合手の終端に優先して,C-C結合を形成する.Si終端表面であることは,薄くて平滑なグラフェンシートのエピタキシャル成長にとって重要で,表面Siはあたかも触媒のように作用する.また,新しいグラフェンシートは,常に元からあるグラフェンシートの下の基板Si終端面の上に成長していく界面成長であり,最表面に新しい層ができる通常のエピタキシャル成長とは異なる.さらにSiの脱離サイトは余剰C原子を捕らえ,グラフェン島を形成していくものと考えられる.