2011 年 38 巻 2 号 p. 137-143
近年のコンピュータの数値計算能力の向上と計算物理学的手法の進歩により,エピタキシャル成長の過程を,原子番号だけを入力パラメータとした量子論に基づく第一原理計算により解明することが可能となってきている.本稿では,第一原理計算に基づいて原子レベルでの結晶成長機構の解明を目指す最近の理論的研究を紹介し,量子論的アプローチのエピタキシャル成長素過程への適用方法について解説する.さらに,量子論的アプローチに基づく結晶成長シミュレーションによる研究も紹介し,成長の動的過程に対する計算手法についても説明する.