日本結晶成長学会誌
Online ISSN : 2187-8366
Print ISSN : 0385-6275
ISSN-L : 0385-6275
金属上への窒化物半導体低温成長(<特集>次世代素子のための窒化物結晶成長新機軸)
井上 茂太田 実雄藤岡 洋
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 38 巻 4 号 p. 249-254

詳細
抄録

金属基板は安価に大面積基板が入手でき,高熱伝導率・高電気伝導率・高反射率などのユニークな特徴を有することから,III族窒化物の成長用基板としての応用が期待される.しかしながら,金属は高温でIII族窒化物と激しく反応するため,金属基板上窒化物素子の開発研究は遅々として進まなかった.最近我々は,パルス励起堆積(PXD:Pulsed eXcitation Deposition)法による低温成長技術を用いることによって界面反応が抑制され,金属基板上へのIII族窒化物エピタキシャル成長が可能となることを見出した.このときの結晶方位関係を解析したところ,基板と窒化物薄膜の面内配向関係は格子不整から予測される配向とは必ずしも一致しないことが分かった.この現象を解明するため,第一原理計算により金属原子およびN原子の吸着エネルギーを求めたところ,N原子の吸着が面内配向関係の決定に重要な役割を果たしていることが分かった.

著者関連情報
© 2012 日本結晶成長学会
前の記事 次の記事
feedback
Top