2010 年 54 巻 4 号 p. 189-195
チャ系統ミカントゲコナジラミにおけるシルベストリコバチの産卵と寄主体液摂取行動を室内条件下で観察した.寄主探索と産卵行動の連鎖は次のようにまとめられた.(1)ランダム歩行,(2)ドラミングを伴う歩行,(3)寄主をドラミング,(4)体の180°方向転換と産卵管の外転,(5)産卵管の挿入,(6)液体の注入,(7)産卵管を挿入したまま静止,(8)産卵管の清掃.寄主体液摂取行動の連鎖は,寄主探索と産卵行動の連鎖の〈(4)体の180°方向転換と産卵管の外転〉までは同じであるが,その後の行動は,次のようなものであった.(1′)産卵管の複数回挿入,(2′)体の180°方向転換,(3′)傷口の探索,(4′)体液摂取.雌バチ1匹あたりの生涯産卵数は67.6個であり,寄主体液摂取数は14.0匹であった.本種の産卵時間は1,682.7秒であり,これまでに報告された本種と同属の種の産卵時間に比べ,著しく長かった.