日本応用動物昆虫学会誌
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原著
高濃度二酸化炭素くん蒸処理のナミハダニTetranychus urticae Kochに対する防除効果とイチゴ苗に及ぼす影響
小山田 浩一村井 保
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2013 年 57 巻 4 号 p. 249-256

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抄録

高濃度二酸化炭素(60%)くん蒸処理のナミハダニ雌成虫および卵(産下後24時間以内および産下後48~72時間以内)に対する殺虫効果,定植直前のイチゴ苗(品種:とちおとめ,普通夜冷処理苗)の外観および花芽形成に及ぼす影響,イチゴ栽培ほ場での実証試験による防除効果の検討を行った.その結果,ナミハダニ雌成虫に対して処理温度25℃では20時間,処理温度30℃および35℃では16時間で補正死虫率が100%に達した.産下後24時間以内卵に対して処理温度25℃では20時間でも補正死虫率は100%に達しなかったが,処理温度30℃および35℃では12時間で100%に達した.また,産下後48~72時間以内の卵に対して処理温度25℃では20時間でも補正死虫率は100%に達しなかったが,処理温度30℃および35℃では16時間で100%に達した.また,定植直前のイチゴ苗に二酸化炭素処理の有無,処理温度30℃および35℃,処理時間12時間および24時間の条件を組み合わせて処理したところ,すべての区で処理後の枯れなどの障害,定植後のイチゴの頂花房開花に対する影響は認められなかった.圃場における実証試験では,無処理区に比較してナミハダニの発生が大幅に抑制され,高い防除効果が認められた.以上の結果から,イチゴ栽培におけるナミハダニ防除技術として定植直前の高濃度二酸化炭素(60%)くん蒸処理は有望と考えられた.

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© 2013 日本応用動物昆虫学会
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