日本応用動物昆虫学会誌
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イネクロカメムシ防除法の研究
II. イネクロカメムシのBHCに対する抵抗性について
小林 尚野口 義弘
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1957 年 1 巻 1 号 p. 36-40

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抄録

イネクロカメムシのBHCに対する濃度-死虫率回帰直線および抵抗性を示す諸恒数を,室温および25°∼27°C恒温下で,本種の発育期および季節別に求めて比較検討した。
抵抗性は卵期が最も強く,LC-50は1.055%, LC-95は2.157%で,0.32%(原液の約1/31)以下では全然斃死しなかった。幼虫は第1令期(LC-50: 0.014%)が最も弱く令を重ねるに従って強くなり,第3令幼虫(LC-50: 0.041%)は産卵期前後の越冬成虫(LC-50: 0.036%∼0.019%)よりも明らかに強かった。秋期新成虫の抵抗力(LC-50: 0.141%)は極めて強く産卵期前後の越冬成虫の3.9∼7.4倍に達した。越冬成虫では2月頃のもの(LC-50: 0.089%)が最も強く,月が進むにつれて漸減し,7月下旬の産卵末期に最も弱く第2令幼虫(LC-50: 0.019%)とほぼ同じ程度であった。
この試験では処理24時間後の死虫率を取扱って抵抗性を比較したが,更に長い時間後の死虫率を取扱えば,致死濃度が低下すると考えられ,その傾向は低温時期ほど著しいと想像される。

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