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日本応用動物昆虫学会誌
Vol. 10 (1966) No. 3 P 129-137

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http://doi.org/10.1303/jjaez.10.129


ダイズシストセンチュウ幼虫のふ化ならびにシストからの游出に対する寄主植物根〓出物(root diffusates)の影響を知るため一連の実験を行なった。その結果は次のとおりである。
(1) 作物栽培土壌〓出液では,全般に寄主植物(インゲン,ダイズ,アズキ)液に浸漬したシストでは幼虫の游出数が大きく,また液採取時の作物の生育の進んでいるほど游出率が高かった。非寄主植物(コムギ)および無作物土壌〓出液,蒸溜水では游出がきわめて少ない。
(2) コムギ栽培土壌〓出液にシストを浸漬しても游出はきわめて少ないが,液を交換してインゲン栽培土壌〓出液に浸漬すると,急激に游出率が大となる。
(3) シストから取り出した卵粒を浸漬した場合も同様に寄主植物土壌浸出液でふ化率が高い。
(4) 寄主植物の根の浸漬液および磨砕汁液も同様の作用があり,液濃度の高いほど游出率が高い。
(5) 寄主植物を抜き取った土壌だけの〓出液でも同様の作用があり,根から〓出した促進物質が,ある期間土壌中に存在していることが明らかである。
(6) 以上の結果から,ダイズシストセンチュウの寄主植物の根部には,少なくとも卵のふ化を剌激する物質が含まれることが明らかで,その結果シストからの幼虫の游出数も多くなるが,幼虫の游出に対する直接的な作用については本実験からは明らかでない。
(7) その作用は各実験を通じてインゲンが最も大きく,この栽培土壌〓出液を高温処理しても作用が失なわれず,熱に対する安定性の高い物質と認められる。

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