日本応用動物昆虫学会誌
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カイコの殺虫剤抵抗性に関する研究
V. 幼虫における14C-DDTの皮膚透過,体内分布および排泄について
渡部 仁小原 隆三
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1968 年 12 巻 2 号 p. 76-80

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抄録

カイコの5令幼虫に14C-DDTを局所施用した場合の,皮膚の透過性に関する系統的差異,体内における14C-DDTの分布,代謝分解および排泄について調べた。またカイコの結果と比較するためにワモンゴキブリを用いて同様の調査を行なった。
1) 14C-DDTを5令初期のカイコに局所施用した場合,25°C 48時間に約80%以上の量が皮膚を通して体内にはいった。この透過率は系統により若干の差異があるが,透過率の大小とDDT感受性との関連は明らかでなかった。
2) カイコの体内に透過した14C-DDTおよびその分解物は主に中腸と囲食膜に分布しており,吐液によって多量の薬量が体外に排除されることが認められた。しかし組織重当たりの薬量では,前腸,マルピギー管および生殖巣に多かった。ワモンゴキブリでは,体内に入った14C-DDTは主に食道・〓のう,砂のう・胃盲のうおよびマルピギー管に分布した。
3) 14C-DDTで処理したカイコの体組織および糞からDDEを含む少くとも三つの代謝産物が薄層クロマトグラフィによって検出された。同様に処理されたワモンゴキブリの体組織および糞からは,DDEの他に少なくとも三つの未同定の代謝産物が認められた。

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