日本応用動物昆虫学会誌
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放牧牛に襲来するアブ類の生態と防除
第1報 アブ3種の襲来刺咬活動とすみわけについて
笹川 満広吉田 璋及部 昭夫永野 幸七郎
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1968 年 12 巻 4 号 p. 181-188

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抄録

京都府丹後半島山間部に所在する和牛放牧地において,7月下旬から8月上旬の間に襲来するアブ類の刺咬活動について調べ,次の結果を得た。
1) 調査期間中に襲来したアブはホルバートアブ,アカウシアブ,ヤマトアブ,ウシアブ,マツモトアブ,イヨシロオビアブおよびシロフアブの7種で,シロフアブが優占し,次いでアカウシアブが多かった。
2) 晴天日におけるアカウシアブ,ウシアブおよびシロフアブの日週活動は気温および照度に依存した二山型を示した。
3) 牛体被毛の赤味がかったものよりも黒色毛の和牛に多く襲来する傾向があった。
4) アカウシアブは牛体中躯背に,ウシアブは腹に,シロフアブは四肢に圧倒的多数襲来した。このすみわけ構造は,3種アブの照度選好,頭部+口ふん長に応じた牛体被毛部の選好,さらに種間の相互作用が要因となって現われるようである。

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