日本応用動物昆虫学会誌
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カーバメート化合物の農薬への応用
第1報 置換フェニルN-メチルカーバメートおよびN, N-ジメチルカーバメートの数種昆虫に対する殺虫力
風野 光浅川 勝田中 俊彦福永 一夫
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1968 年 12 巻 4 号 p. 202-210

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抄録

1) 置換フェニルN-メチルカーバメート81種および置換フェニルN, N-ジメチルカーバメート23種について,イエバエ,ニカメイガに対しては局所施用法,アズキゾウムシ,コナマダラメイガに対してはドライフィルム接触法,トウモロコシアブラムシ,モモアカアブラムシに対しては幼苗浸漬法により殺虫力を試験し,さらにトウモロコシアブラムシに対する残効試験,イエバエ頭部コリンエステラーゼに対する阻害度の測定を行なった。
2) 殺虫力とコリンエステラーゼ阻害度との間には概略的には比例的関係が認められたが,コナマダラメイガ,ニカメイガに有効なものは少なく,アブラムシでも種類によって殺虫力に差が認められ,昆虫に対する活性は選択的な傾向が認められた。
3) 化学構造と殺虫力の関係は,従来の報告に一致する点が多かったが,新知見としてCN置換体ではN-メチルカーバメートよりN, N-ジメチルカーバメートが殺虫力が大であることがわかった。
4) 置換フェニルN-メチルカーバメートについては,フェニル基における置換基が一つの場合,3位置換体よりも2位置換体が殺虫力の強いものがあること,3, 5-ジメチル置換体にさらにNO2基を導入した場合,4位置換体よりも2位置換体が殺虫力が大であること,2-アリル置換体にOCH3, CH3などの置換基を,3, 5-ジメチル置換体にさらにN(CH3)2, OCH3, SCH3, Cl, Br, NO2, CH3, COCH3, CH2&CH=CH2などの置換基を,また一般に2位にClを,それぞれ導入すると,トウモロコシアブラムシに対する殺虫力が大となることなどの新しい知見が得られた。

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