変態期のエリサンの脂肪体細胞に接して出現する3種の血球細胞の電子顕微鏡観察を行なった。
第I型の血球細胞は,脂肪体細胞質にみられる,いわゆる“脂肪球”に一致する3種のリピッド様小体と不定形の内容物を含む液胞体を包含している。これらの血球細胞は,入戸野(1960)によって分類されたカイコの“顆粒細胞”に相当するものと考えた。
第II型の血球細胞は,リゾゾーム様小体を包含し,細胞内小器官の発達は不良である。これらの細胞もまた,別種の“顆粒細胞”であるかも知れない。
第III型は紡錘形でその表面に仮足を有し,粗面小胞体やゴルジ装置も発達している。この細胞をプラズマ細胞と推定した。
これらの血球細胞は,変態期には脂肪体細胞の細胞質の捕食ならびに“connective tissue sheath”の再生に関与しているものと思考した。