日本応用動物昆虫学会誌
Online ISSN : 1347-6068
Print ISSN : 0021-4914
ISSN-L : 0021-4914
カイコにおよぼす5-ブロモウラシルおよび5-ブロモデオキシウリジンの影響
II. DNAへの取りこみ
中島 誠
著者情報
ジャーナル フリー

1972 年 16 巻 1 号 p. 44-49

詳細
抄録

この研究は,カイコにBUまたはBUdRを添食した場合に,それらがDNAに取りこまれるか否かについて調べたものである。
1) 第1・2令中BUを添食した幼虫から分離精製したDNA中にBrが検出された。またBUとともにBU-2-14Cを添食した場合には,抽出されたDNAに放射活性が認められ,さらにそのDNAの加水分解物のペーパークロマトグラフィーを行なった結果から,DNA中にBUが存在することが確認された。
2) 第1令各時期に添食したBUdR-6-3Hの各種組織の細胞核への取りこみを,幼虫切片のオートラジオグラフィーによって調べた結果,その取りこみは,時期的にも量的にもほぼチミジン-6-3Hの場合と一致し,したがってDNA合成期に行なわれることが明らかにされた。
3) 第1令のBUdR添食の時期によっての変異斑誘発頻度の違いは,添食時期による真皮細胞核へのBUdRの取りこみ量の違いに依存し,また添食時期による死亡率の違いは,添食時期による幼虫全組織の細胞核へのBUdRの取りこみ量の違いに依存する可能性のあることを示唆した。

著者関連情報
© 日本応用動物昆虫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top