日本応用動物昆虫学会誌
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放射線照射による木材害虫の防除
第2報 日本産3種のアンブロシアせん孔虫の殺虫線量,羽化阻止線量および不妊化線量について
吉田 忠晴深見 順一福永 一夫松山 晃
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1975 年 19 巻 3 号 p. 193-202

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抄録
アンブロシアせん孔虫のハンノキキクイムシ,シイノコキクイムシをクワの滅菌材,サカクレノキクイムシをクリの滅菌材を用いて飼育,各発育段階の60Coγ線に対する殺虫線量,羽化阻止線量および不妊化線量を求めた。
その結果(1)羽化48時間以内の成虫に対する照射後12日目における殺虫線量LD50とLD99は,それぞれシイノコキクイムシでは39kradおよび73krad,ハンノキキクイムシでは50kradおよび91krad,サカクレノキクイムシでは94kradおよび130kradであった。(2)羽化阻止線量は5日目卵で3krad, 3令幼虫で5∼7krad,蛹では10krad以上であった。(3)不妊化線量は3種ともすべての発育段階で2∼4kradで,殺虫線量の順序とはまったく相関していない。(4)ハンノキキクイムシの未交尾成虫を照射後交尾させた場合の不妊化線量は,既交尾雌成虫照射の場合と同程度の4kradであった。(5)ハンノキキクイムシ,シイノコキクイムシの既交尾雌成虫に不妊化線量レベルの3∼4kradを照射した結果,雌成虫の羽化は認められないが,雄成虫の羽化が認められた。(6)樹皮下せん孔虫に比較してアンブロシアせん孔虫の羽化阻止線量,不妊化線量はすべての発育段階で感受性が強い。(7)不妊化線量以上の10∼30kradでハンノキキクイムシを照射すると,寄主材へのせん入が阻害され,虫の活動力も弱まることがわかった。従って10∼30kradの照射の線量は,これら木材害虫の防除にきわめて有効であると結論される。また(8)染色体観察の結果,サカクレキクイムシ雌体細胞では2n=40,雄体細胞ではn=20で,ハンノキキクイムシおよびシイノコキクイムシと同じく雄半数性を示した。なおハンノキキクイムシとシイノコキクイムシ染色体の核型分析の結果,両種の染色体構成はかなり異なることが明らかになった。
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